ニコラス・クリストフ
今回の取材旅行で、骸骨のようにやせ細ったスーダンの子どもたちを目にし、黒人アフリカ系民族を標的とした虐殺や集団レイプの生存者にインタビューをする中で、私の心は痛んだ。これ以上悪化することはないだろうと考え続けていた。
しかし、私は気付いた。「ああ、そうか、まだ悪くなる可能性があるんだ」と。
スーダンで最も残虐な民兵組織である即応支援部隊(RSF)が、現在、(西部ダルフール地方の)エルファシル市を爆撃し、勢力を拡大している。エルファシルとその近郊のザムザム難民キャンプは、いつ陥落してもおかしくない状況にあり、100万人以上の民間人が、この民兵組織がこれまで何度も犯してきた残虐行為の危険にさらされている。
バイデン大統領は今週、残虐行為を繰り返すRSFの主要な後ろ盾であるアラブ首長国連邦(UAE)の指導者と会談した。バイデン大統領は、UAEを「常に未来を見据えている」国家として称賛したが、少なくとも一つの監視団体が「ジェノサイド」と呼ぶほどの記録に残る民族浄化を可能にしていることに対して、公の場で非難の念を一切示さなかった。
世界の指導者たちが、国連に集まって平和と正義への取り組みを祝う一方で、現状に対して受動的な態度を取っていることは、私がチャド・スーダン国境で出会ったスーダン難民の少女が持つ深い道徳的責任感と対照的だ。その少女の話を紹介しよう。
残虐行為の数々目撃 生き抜いたサファア
サファア・ハティールという…